和歌山県内の自殺死亡率は、平成30年の国の統計で全国最悪を記録した。そんな深刻な状況を解消しようと、県は8日、県内外の専門家ら8人を集め、防止対策を検討する有識者会議を設置すると発表した。29日に和歌山市内で初会合を開催。会合を重ねて議論し、提言にまとめる方針。県は提言内容を具体的な施策に反映させていく。
県などによると、自殺者は近年、全国的には減少傾向にあるが、県内では年間200人前後で高止まりしており、全国順位は上昇傾向にある。
人口10万人あたりの自殺者の割合を示す自殺死亡率でみると、県内は平成26年には全国平均(19・5人)を下回る17・4人で39位だったが、30年には全国平均(16・1人)を上回る21・2人に増えて全国最悪となった。
すでに県では、無料通信アプリ「LINE」を使った相談や、相談電話の24時間対応、救急医療機関と連携した自殺未遂者への支援などを実施しているが、さらに専門家の意見を生かした対策に取り組もうと有識者会議を設置する。
座長は、平成28年施行の改正自殺対策基本法に基づき、学際的な観点から地域の自殺対策を支援している「自殺総合対策推進センター」(東京)の金子善博自殺実態・統計分析室長が務める。自殺対策の第一人者として知られる本橋豊・センター長も参加する。
同県白浜町で自殺志願者の保護などに取り組むNPO法人「白浜レスキューネットワーク」の藤藪庸一理事長のほか、医師や弁護士も加わる。
有識者会議は3回程度の会合を予定。専門家らの議論をもとに実効性のある自殺防止対策を検討し、県に提言する。
仁坂吉伸知事は8日の定例会見で「専門家の意見を取り入れ、県の自殺対策をバージョンアップしたい」と話した。
自殺防止に向け、県などは電話相談窓口を設置している。連絡先は次の通り。
「はあとライン」(073・424・1700、無休、24時間対応)▽「いのちの電話」(073・424・5000、無休、午前10時~午後10時、毎月10日は24時間対応)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース